切削工具

ハンドタップの仕組・用途・研磨方法を再研磨屋が解説!

みなさんは、ハンドタップを使用したことはあるでしょうか?

 

ハンドタップは、雌ねじを加工するための道具の一種です。

そんなハンドタップの種類や、加工の用途、再研磨の方法などについて、今回は解説していきます。

タップは雌ねじを切るための工具

ハンドタップについて解説する前に、タップについて簡単に解説します。

タップは、雌ねじを切るための工具で、使用するねじのサイズに合わせた下穴に、タップを回転させながら挿入してねじ山の加工を行います。

 

タップの種類は様々あり、ハンドタップのほかにもこんな種類があります。

 

・スパイラルタップ…機械加工で止まり穴の加工に使用されるタップ。切り子が上に出る。

・ポイントタップ…機械加工で貫通穴の加工に使用されるタップ。切り子が下に出る。

・転造タップ…切削ではなくモミだして加工するタップ。切り子は出ない。

 

タップ工具は用途に合わせて、使い分ける必要があります。

 

タップの種類について詳しく知りたい人は先に下記の記事をご覧ください。

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それではハンドタップについて、詳しく見ていきましょう。

ハンドタップは手作業でねじ穴を切るための工具

ハンドタップは手作業で、ねじ穴を切るための工具です。

 

ほかのスパイラルタップやポイントタップは機械加工で主に使用されますが、ハンドタップは手作業で雌ねじを切れるような構造をしています。

ハンドタップの主な形状は3種類

ハンドタップは、手作業でも安定して加工ができるように、刃物が食いつくまでの長さが違う3つの種類があり、下記の3つとなっています。

 

・先タップ(1番タップ)

・中タップ(2番タップ)

・上タップ(3番タップ)

 

先タップ

先タップは「さきたっぷ」と読み、文字通り、タップを切る際に一番最初に使用します。

先タップのほかに、1番タップと呼ばれることも。

 

先タップは、タップのねじ山部分が先端から9山分ほど削られており、先のほうが下穴に挿入しやすいようになっています。

手作業でねじを切る際には、下穴に対して垂直にねじを切ることが難しいです。

 

そのため、先タップは先端部分のねじ山が削られた形状をしていて、徐々に刃が食い込むようになっており、少ない力で加工が可能になっています。

 

中タップ(2番タップ)

中タップは「なかたっぷ」と読み、2番タップとも呼ばれます。

 

中タップは、ねじ山部分が先端から5山分ほど削られており、先タップよりも先端が急角度です。

 

先タップである程度、ねじ穴を切った後に中タップは使われます。

また、中タップは、つぶれてしまったねじ穴の修復などにもよく使用されます。

 

上タップ(3番タップ)

上タップは「あげたっぷ」と読み、3番タップとも呼ばれます。

 

上タップは、ねじ穴の仕上げに使われるため、先端から1.5山ほどしか削れていません。

 

そのため、先タップや中タップでは届かない、穴の奥までねじを切ることが可能です。

 

ハンドタップの使い方と用途

ハンドタップの使い方は、タップハンドルと呼ばれる道具に、ハンドタップを取り付けておこないます。

 

先タップから使用し、あらかじめあけておいた下穴にハンドタップの先端を挿入し、下穴と軸がぶれないようにしながらタップハンドルをまわしましょう。

 

先タップの先端がぶれない程度に刃が食い込んだら、中タップに切り替え、上タップまで同じ作業を繰り返します。

 

ハンドタップは、まっすぐにするように意識しないと、すぐにねじ穴が斜めになってしまいますので注意が必要です。

機械加工でもハンドタップは使用できる

ハンドタップと名称がついていますが、ハンドタップは機械加工でも使用できます。

 

機械加工で使用する場合は、3種類のうちいずれか1つを使用することがほとんど。

 

ハンドタップが機械加工で使用されないのは、切り子の排出性が悪く、加工速度を上げられないというのが主な要因です。

ハンドタップは止まり穴にも使える

ハンドタップは止まり穴にも使用可能です。

 

ハンドタップの切り子は、タップの縦溝部分に丸まって収まるようになっています。

 

そのため、切り子が中で詰まってしまうということがなく、止まり穴にも使用することができます。

ハンドタップがよく用いられる被削材とは

ハンドタップがよく用いられる被削材は、高硬度な金属や、切り子が粉になってしまうような材質です。

 

刃先の強度が強いため、高硬度な材質などに用いられます。

ハンドタップの再研磨方法

ハンドタップの標準的な再研磨の方法は、食付きと溝部分を再研磨します。

 

 

再研磨可能なタップのサイズは、M6以上となっていますので、それ以下のハンドタップは使い捨てとなります。

 

 

また、再研磨時のセンター出しのために、刃物の両端部にセンター穴が必要となりますので注意してください。

 

 

ハンドタップの再研磨は、食い付きの角度を正確に研磨しなければならないので、手作業で行うのはとても難しいです。

 

 

一度タップの専門メーカーでの研磨を検討して見て下さい。

 

 

新品を購入するよりエコで経済的に再利用することができます。

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ハンドタップの再研磨時期の見分け方

ハンドタップの再研磨が必要かどうかは、以下の点を基準にしてください。

 

①工具が損傷したとき

②加工後のねじの寸法精度が不合格になったとき

③加工後のねじの仕上面が悪くなったとき

④切削抵抗が大きくなったとき

⑤切削時のキシミ音が発生したとき

⑥切屑の形状が変化してきたとき

 

いかがだったでしょうか?

 

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