こんにちは、ドリル・エンドミルなど切削工具の再研磨をしているツールリメイクです。
歯車の潤滑に使用する油はなんでもいいわけではないということをご存知でしょうか?
適していない潤滑油を使用してしまうと、すぐに潤滑油が切れてしまったり、歯車の動作を阻害してしまったりします。
歯車には潤滑油の存在が不可欠
歯車が滑らかに動作するためには、潤滑油の存在が不可欠です。
潤滑油は、歯車の噛み合う部分に薄い油膜を形成し、歯車の動きを滑らかで摩擦量を少なくする働きがあります。
潤滑油なしで歯車を動作させた場合、焼け付きや摩耗といったトラブルが発生しやすくなってしまうのです。
加えて、摩擦量が減るとより小さい力でも歯車が駆動できるようになり、省エネにも大きく影響します。
また、潤滑油の塗布によって歯車に薄い油膜が形成されていると、歯車の防錆にも役立ちます。
歯車に最適な潤滑油とは?
歯車に使用される潤滑油には、
耐腐食性…歯車のサビを防止する
消泡性…歯車の回転によって発生する泡を抑える
酸化安定性…高温や湿気による潤滑油の酸化を防ぐ
などの性能が必要とされます。
加えて、高負荷の環境で使用される歯車には、高圧下での焼付きや摩耗を防ぐために極圧添加剤が添加されます。
歯車へ使用する潤滑油は成分の選択も大切ですが、同時に「動粘度」も状況に合わせて最適なものを選択するしなければなりません。
動粘度とは、粘りの度合いである「粘土」を「密度」で割ったもので、歯車の回転速度や温度によって最適なものが変わってきます。
歯車の回転速度が速い場合や動作温度が高い場合は、動粘度の高い潤滑油を選び、反対に、歯車の回転速度が遅い場合や動作温度が低い場合は、動粘度の低い潤滑油を選ぶようにすることが大切です。
動粘度については「JIS K2001:工業用潤滑油ISO粘度グレード」で分類が規定されています。
最適な動粘度の潤滑油を選択しなかった場合、潤滑油がすぐに切れてしまったり、潤滑油が歯車の動作を邪魔してしまう場合があるので注意しましょう。
歯車に使われる潤滑油は、工業用2種、自動車用3種に分けられており「JIS K 2219:1993
ギヤー油」にその分類が記載されています。
歯車への潤滑油の給油方法
歯車の表面に油膜を形成させ続けるには、潤滑油への給油のタイミングや量が重要となってきます。
潤滑油の給油には
- 手差し給油…スプレーなどで手動で給油する方法
- 油浴給油…油に浸かるように歯車を設置する給油方法
- 滴下給油…歯車の上から潤滑油を少しづつ落とす給油方法
- 噴霧給油…潤滑油を霧状にする給油方法、高速回転の歯車に最適な給油方法
などがあります。
給油方法の選択は、機械の大きさや回転速度などの条件によって検討されます。
また、歯車が密閉されているかや開放されているかによっても最適な給油方法は変わってきます。
最適な潤滑油を選択して機械の寿命を向上させよう
歯車において、潤滑油はとても重要な役割を担っています。
潤滑油は、歯車の大きさや回転速度、温度など様々な影響によって最適なものが変わってくるので、その都度どんな潤滑油が最適か検討することが大切です。
この記事を読み終わったら、今使っている機械の潤滑油が本当にその機械に最適なものなのかチェックしてみてくださいね。
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