こんにちは、ドリル・エンドミルなど切削工具の再研磨をしているツールリメイクです。
「マシニングセンタを使い始めたけれど、工具の種類が多すぎてわからない!」という方結構多いのではないでしょうか?
様々な加工に対応するためとはいえ、初心者が工具の性質や内容を把握するのはなかなか難しいですよね。
今回は、
「マシニングセンタでよく使う工具を知りたい」
「どんな工具でどんな加工ができるのか知りたい」
といった方に向けて、マシニングセンタで使用する基本的な工具について紹介していきましょう。
マシニングセンタのオペレーターをはじめたばかりという人は要チェックです。
マシニングセンタでできる加工は?
マシニングセンタは、工具を回転させて固定した材料に押し当てて削り出していく工作機械です。
材料を回転させ、工具を固定する旋盤とは仕組みと工具が大きく異なり、マシニングセンタの方が複雑な形状を加工しやすいのが特徴です。
マシニングセンタでの加工では、基本的に下記のような加工が可能です。
- 穴あけ加工
- 外形切削加工
- ねじ切り加工
加工する形状に合わせて先端工具を変更することで、自由な形状を作り出すことができます。このように様々な加工を行えるのがマシニングセンタ最大のメリットです。
様々な形状や加工の材質に対応するために、非常に多くの工具が各種メーカーからリリースされています。さらに同じ形状を加工する場合でも、ステンレス、アルミと材料ごとで最適な工具の材質や形状、コーティングが変わってくるため、工具のカタログはとても分厚いものになってしまうのです。
たくさんの工具がある分、初心者にはどの工具を選んでいいのかわかりにくく、工具の選定はかんたんなものではありません。
工具の選定で迷わないためにも、加工別によく使われる工具を紹介していきましょう。
穴あけ加工で使う工具
まずは、穴あけ加工でよく使われる工具です。
穴あけに関わる工具は
- センタードリル
- ドリル
- リーマー
- タップ
順番に見ていきましょう。
ドリル
ドリルは穴あけに使う基本的な工具で、工具の回転軸方向に動かして使用します。
垂直の穴加工しかできませんが、高い効率で加工ができる反面、精度はあまり高くありません。
高精度な加工をするには、ドリルでの加工前にセンタードリルで位置決めのためのくぼみをつけたり、ドリルでの加工後にリーマーを通して穴の寸法精度を高めたりする必要があります。
センタードリル
センタードリルは、ドリルでの加工前にドリルの刃の食いつきをよくするためのくぼみをつける工具です。
センタードリルは、材料に食い込みやすい形状をしており、正確な位置にくぼみを付けることができます。そのため、ドリルでの正確な穴あけには欠かせない相棒のような存在です。
センタードリルは、刃の先端角度が90°の場合が多く、穴加工後の面取りにも使用できるものも多くあります。
穴の位置精度を高める場合は、センタードリルを使用するようにしましょう。
リーマー
リーマーは、ドリルであけた穴の精度を高めるために使用する工具です。
リーマー自体には穴をあける能力はないので、必ず指定された大きさの穴に対してリーマー使用する必要がある点に注意しなければなりません。
リーマーで仕上げられた穴の大きさは精度が高く、また面粗度も非常に高いものとなります。
高精度な穴加工が必要な場合は、リーマーでの仕上げ加工が必須です。図面での穴寸法に公差が設けられている場合は必須の工具となるでしょう。
タップ
タップはネジ山を加工するのに使用する工具です。
タップには穴をあける能力はないため、タップはドリルで穴加工を施したあとに使用します。
タップのサイズによって、下穴のサイズが決められているので、タップのサイズにあったドリルを使用する必要があります。
また、タップはネジ山のピッチに合わせて、工具の送り速度と回転数を同期させる必要があります。同期が適切でない場合は、ネジ山が潰れてしまいますので注意しなければなりません。
外形切削加工で使う工具
外形形状を切削していく場合によく使用される工具は
- 正面フライス
- エンドミル
- サイドカッター
などがよく使われます。
順番に見ていきましょう。
正面フライス
平面を仕上げる際によく用いられるのが正面フライスです。フェイスミルとも呼ばれる場合もあります。
正面フライスは、底刃のみでしか切削はできませんが、その代わり広い面を一度に加工できます。そのため、材料の表面がデコボコな鋳物のワークの基準面を作り出すのによく使用されます。
ホルダーと呼ばれるものに、切れ刃を持つチップを取り付けて使うタイプが主流で、刃の切れ味が落ちてくるとチップをかんたんに交換できるようになっています。
エンドミル
エンドミルは、底刃や側面を使っての切削ができる工具で、マシニングセンタで最も使用率の高い工具と言えるでしょう。
正面フライスのように底刃を使って材料の上面を切削できますし、エンドミルの側面を使っての切削もできるため、エンドミルがあれば大抵の形状を作り出すことが可能です。
エンドミルには先端の形状や刃の枚数などの種類があります。
スクエアエンドミル…最も一般的なエンドミルで、横から見た際に先端が四角形をしています。
ラジアスエンドミル…難削材などの加工でスクエアエンドミルでは刃が欠けやすい場合に用いられる。
テーパーエンドミル…プラスチック金型の抜け勾配を作るのに用いられる。
ボールエンドミル…3次元形状を削り出していくのに用いられる。
ラフィングエンドミル…側面がギザギザになっており、切削時の抵抗が少ないのが特徴。重切削に使われる。
エンドミルはドリルと形状がよく似ていますが、ドリルが垂直方向の加工を得意としているのに対し、エンドミルは横方向の加工を得意としています。エンドミルは垂直方向の加工はできませんので注意が必要です。
サイドカッター
サイドカッターは、細い溝を削り出すのに有効な工具で、スリ割りフライスと呼ばれることもあります。
円盤状の形状をしており、円盤の外周部に刃がついています。そのため、エンドミルでは強度が確保できないような細く深い溝加工であっても、サイドカッターであれば比較的かんたんに加工が可能です。
工具の材質について
マシニングセンタに使用される工具は、工具の材質によって大きくその特性が変わってきます。
一般的な工具の材質は
- 高速度工具鋼(ハイス鋼)
- 超硬合金
の2種類です。
高速度工具鋼は価格が安く、導入しやすい点が魅力ですが、超硬合金に比べて柔らかく、加工の最中にたわみが出やすいため、加工効率に劣ります。また、耐摩耗性も低いので、量産加工には不向きです。そのため、DIYなどで使用する場合や利用頻度の低い工具に向きます。
超硬合金は価格が高いという点はありますが、高い剛性から加工精度が高く、加工効率も高くできるのが特徴です。ただし、硬度が高い反面、欠けやすいというデメリットがあるので、取り扱いには注意が必要です。
また、被削材に合わせて耐摩耗性や耐熱性などを高めるコーティング処理を行う場合があります。加工の効率を考えると被削材に合わせてコーティングの種類も最適なものをあわせたほうがいいでしょう。
マシニングセンタの工具はまだまだたくさん
マシニングセンタで使われる工具はたくさんの種類があり、今回紹介した工具の枠に収まらないものもたくさんあります。
一度に特殊な工具について覚えるのは大変です。ですので、まずは基本の工具についてしっかりと理解をしていきましょう。
基本的な工具に対して理解が深まれば、自ずと特殊な工具の見分けもつきやすくなりますよ。
ドリル・エンドミルの再研磨はツールリメイクにおまかせ
ツールリメイクでは、再研磨を専門にしており、お持ちの工具にピッタリの再研磨方法をご提案することが可能です。
ですので、ドリルやエンドミルだけでなく様々な工具を再研磨可能ですので、刃物の切れ味で困っているのであれば、ぜひ一度ご相談くださいね。
ツールリメイクでは再研磨はもちろんのこと、ドリルやエンドミルのレンタルサービスも行っております。
詳しくは、下記の「現場を変える、切削工具レンタルサービス。」をご覧ください。