こんにちは、ドリル・エンドミルなど切削工具の再研磨を行っているツールリメイクです。
センタードリルを使用したことはあるでしょうか?
センタードリルは、フライス加工や旋盤加工のような機械加工をしているところであれば、必ず持っているドリルです。
センタードリルの使い方を覚えておけば、穴あけ加工のレベルがワンランク上がること間違いなし。
今回は、センタードリルの用途や種類について紹介していきます。
センタードリルはどんなドリル?
センタードリルは、普通のドリルとは少し異なる形状をしています。
先端が少し細くなっていて、傾斜している部分があるのがわかるでしょうか。
通常のドリルとは異なり、短くシャンクが太いため、高い剛性をもっており、加工時に先端がブレにくい形状をしています。
センタードリルはなぜ必要?
センタードリルがなぜ必要かというと、ドリルでいきなり穴あけをすると、ドリルがぶれてしまって正確に穴を開けるということができないからです。
ドリルの先端には、刃がついていないチゼルエッジというものがついています。
通常のドリルの場合は、このチゼルエッジが長く、ドリル自体の剛性が低いです。
そのため、通常のドリルでいきなり穴を開けようとすると、切れない刃が被削材の上で滑ってしまい、先端がぶれてしまいます。
センタードリルは、チゼルエッジが短く、ドリルの剛性も高いため、滑らず正確な位置に加工ができるというわけです。
センタードリルで、通常のドリルのチゼルエッジをかわせる程度のもみツケをしておけば、ドリルの刃先が滑らず、正確な位置に穴を開けることが可能です。
ですので、正確な穴を開けたい場合は、センタードリルで一度加工をして位置決めをしてから、ドリルでの加工を施します。
また、本来のセンタードリルの役割は、旋盤加工や円筒研削盤での材料支持です。
センタードリルで加工した穴に、センターと呼ばれる工具を押し当てて、材料の芯がブレなおように支持をするというものです。
センタードリルの傾斜している2段目の部分は、このセンターを押し当てるスペースというわけです。
リーディングドリルとの違い
センタードリルと良く似たもので、リーディングドリルというものがあります。
リーディングドリルは、センタードリルよりも、更に位置決め用の穴を開けることに特化したドリルです。
センタードリルは先端部分が細くなっているため、先端部分が少し華奢で、破損しやすいですが、リーディングドリルはもう少し頑丈に作られています。
また、リーディングドリルは面取りも得意としており、穴を開けたあとの面取りにも使用可能。
ドリルの位置決めという観点から見るとリーディングドリルのほうがすぐれています。
しかし、センタードリルは、あくまでもセンター用の穴を開けるための工具ですが、応用が効き使い勝手がいいため、ドリルの位置決めによく使用されています。
センタードリルの使用用途
ここまでもセンタードリルの使用用途について、紹介してきましたが、改めてセンタードリルがどのような加工に使われるのか見ていきましょう。
旋盤加工・円筒研磨加工の材料支持
本来の使い方である、円筒物のセンター支持です。
図のように、センタードリルの2段めの部分まで加工し、センターが入るスペースを確保します。
材料がたわんだり、芯ブレしないようにする役割を担う部分の加工です。
ドリルの位置決め
ここまでにも説明したとおり、短いチゼルエッジと高い剛性で、位置ズレが起きにくいためドリルの位置決めに使用されます。
精度の高い加工には必ず必要な工程ですので、精度が必要な場合は必ず行うべき加工です。
センター穴の大きさは、使用するドリルのチゼルエッジよりも大きくなるように加工しましょう。
穴の面取り
センタードリルは、穴の面取りにも使用可能です。
センタードリルが太くなっている傾斜の部分で、穴あけ加工をしたあとの穴を加工することで穴の面取りが可能。
ただし、センタードリルの場合は、傾斜している部分が60°や75°といった角度のものもや、Rになっているものもあるので気をつけましょう。
薄板の穴あけ
あまり使用される方法ではありませんが、薄い板であれば、センター穴を開けてから、ドリル穴を開けるという工程を踏まずに、センタードリルで穴あけまで加工可能です。
工程が短縮されるので、素早い加工ができます。
センタードリルの種類
センタードリルには形状にいくつかの種類があります。
先端の形状は変わりませんが、2段目の部分の形状が変わってきます。
順番に見ていきましょう。
A型
A型は最もシンプルで一般的なタイプです。
角度は60°が最も一般的ですが、75°や90°といった角度のものも流通しています。
B型
B型は形状に3段目の傾斜があります。
3段目の傾斜はセンター穴を保護するためについており、加工の段取り替えなどの際にセンター穴が傷つかないような形状をしています。
C型
C型は3段目にザグリ加工ができる形状になっています。
C型もB型と同じくセンター穴を保護するためにこのような形状をしています。
R型
R型は2段目の形状がRになっています。
Rになっていることで、センターとの接触が線になるので、小さな製品の精密加工などのさいによく用いられます。
センタードリルの再研磨方法
センタードリルの切れ味が落ちてきたら再研磨の必要が出てきます。
センタードリルの再研磨は、図のように刃先部分を再研磨するのが一般的です。
ツールリメイクでは、お持ちの刃物に最適な再研磨を施すことが可能。
再研磨が必要になった際には、ぜひ相談してください。
ツールリメイクではセンタードリルの再研磨はもちろんのこと、切削工具のレンタルサービスも行っております。
詳しくは、下記の「現場を変える、切削工具レンタルサービス。」をご覧ください。