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歯車

歯車って一体どうやって作るの?製造方法の基本を紹介

こんにちは、ドリル・エンドミル、歯車など切削工具の再研磨をしているツールリメイクです。

 

歯車がどうやって作られているか知っていますか?

 

日常生活には欠かせない車や機械には、歯車が入っている場合も多くあります。

そんな私達の日常を、影で支える歯車の製造方法について今回は紹介していきましょう。

 

歯車に詳しくなりたい人は必見です。

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歯車加工はまずブランクから

歯車を加工するには、まず歯車のベースとなる材料の加工からはじめる必要があります。

 

ブランクの加工は、歯が切られる外周側と、歯車を取り付けるための軸を装着する中心穴、そして、歯車の側面を加工する必要があります。

 

ブランクの加工の段階で、寸法や中心穴位置の精度が低ければ、良い歯車にはなりえません。

ブランク加工の精度が低いと、歯車の歯を正しく加工できない場合もありますし、歯車の取り付けの際にうまく取り付けられなくなる可能性も出てきます。

 

そうならないためにも、ブランク加工は精度良く加工していく必要があるのです。

 

ブランクの材料には、耐摩耗性と強度に優れた材料が用いられます。

歯車は常に、他の歯車と接触しているため、耐摩耗性が求められます。歯車の耐摩耗性が低ければ、すぐに歯車を交換しなければならずいけません。

加えて、歯車にかかる力も相当なものになる場合があり、強度も求められるのです。強度がなければ、歯車の歯はすぐに破れてしまったり、飛んでしまったりしてしまいます。

一般的に、歯車には耐摩耗性と強度に優れた鉄鋼材料が使用されるケースがほとんどです。 

 

ブランク加工の基本について紹介していきましょう。

ブランク加工の基本は旋盤

ブランク加工の基本は旋盤での加工となります。

 

旋盤は、円柱状の材料をチャックと呼ばれるツメでつかみ、材料を回転させて、そこへバイトとよばれる刃物を当て切削していく加工方法です。

 

旋盤は材料を回転させるため、中心精度が高くなりやすいメリットがあります。また、小径の歯車のブランクであれば、量産時に材料を押し出し、連続加工を行えるせ旋盤もあり、量産性に優れています。

大型の歯車のブランクは鋳造

大型の歯車のブランクは、鋳造で加工されることがほとんどです。

 

大型の歯車は、旋盤で加工すると重量がありすぎて扱いづらいという問題が発生します。

そこで有効になるのが鋳造加工でブランクを肉抜きし、軽量化した状態で成型するという方法です。

ものによっては、溶接も合わせて用いられる場合もあります。

歯車の加工

ブランクの加工が終われば、続いては歯車の歯を加工していきます。

歯車の加工方法は、歯車の種類によっても異なりますが、たくさんの加工方法が存在します。

今回は、基本の歯車の加工方法について紹介していきましょう。

フライスでの加工

フライスでの加工は、固定した歯車のブランク対して、工具を回転させながら押し当てて、歯を1つづつ加工していくのが特徴です。このような加工の方法を「成形法」と呼ぶ場合も。

一般的には、縦型フライス、横型フライスを用いて加工されますが、歯を1つづつ加工していく必要があるため、材料の回転位置を制御できる「割り出し台」などが必要となります。

 

フライスでの加工は、主にエンドミルやインボリュートフライスを用いて加工されます。

 

※エンドミル画像

 

エンドミルは、ドリルに似ている形状をしていますが、横方法に切削していく工具です。

歯車専用のエンドミルは、横から見た断面が歯車の形状をしています。

 

※インボリュートフライス画像

 

インボリュートフライスは、歯車の歯を型取った形状をしています。

インボリュートとは「インボリュート曲線」のことを指し、歯車で最も使用されている曲線です。

インボリュートフライスは、このインボリュート曲線を用いている歯車の加工に使用されます。

 

また、歯を1つづつ加工していくため、生産性はあまり高くなく、量産加工にはあまり使用されません。

しかし、フライスの制御次第では平歯車やはすば歯車などの加工も行えるので、柔軟性の高い加工と言えます。

ピニオンカッターでの加工

※ピニオンカッター画像

 

ピニオンカッターは、歯車の刃の先端に切れ刃を持つ工具です。

ピニオンカッター自体も歯車の形状をしており、歯車のブランクとかみ合わせ、歯車の軸方向に上下させピニオンカッターを動かし、少しづつ切削していきます。また、この歯切りの方法を「創成法」と呼ぶこともあります。

 

フライスやホブ盤での加工の場合、歯車の大きさごとに刃物を用意する必要がありますが、ピニオンカッターは1つあれば、様々な形状の歯車の加工に利用できるのが魅力です。

 

ピニオンカッターは「歯車形削り盤」や「ギアシェーパ」といった機械に取り付けて使用します。

また、フライスやホブ盤での加工ができない「内歯車」の加工にも対応できる点もピニオンカッターならではの利点と言えるでしょう。

ホブでの加工

※ホブ盤画像

ホブはホブ盤と呼ばれる機械で加工する、歯車専用の工具です。

 

ホブは、複数の歯がついた円筒状の刃物で、ホブを水平方向に設置し回転させながら、水平方向に設置したブランクを少しづつ削り出していきます。

ピニオンカッターと同じく、少しづつ歯を削り出していくためこちらも「創成法」と呼ばれます。

 

ブランクをゆっくりと回転させ、上下に動かしたりホブに近づけたりすることができ、切り込み深さと高さを調整が可能です。

ブランクの回転速度は、作り出す歯車の直径や歯数などに合わせる必要があるため、回転速度の算出には計算が不可欠です。

 

フライスでの加工によく似ていますが、少しずつ歯をつくり出していく点とブランクをゆっくりと回転させながら加工する点で異なります。

回転させながら連続で加工できるため、生産性が高く、量産加工ではホブ盤を用いた加工が多用されています。

プレス加工

小型の歯車において、高い量産性を誇るのがプレス加工です。

プレスで加工された歯車の多くは時計などに利用されます。

 

プレスの場合、歯車の形状をした金型を作成し、オスの金型とメスの金型で薄い金属板を挟み込んで打ち抜きます。

事前に加工する歯車専用の金型を準備する必要がありますが、一旦金型を準備してしまえば圧倒的な速度で加工できる点が魅力です。

焼結加工

※焼結加工写真

粉末状にした金属を金型の中に入れ加圧し、焼きかためる手法をといいます。

「粉末冶金」とも呼ばれますが、粉末状にした金属をしっかりと撹拌させて加工できるため、精度の安定性が高く、なおかつ量産性に優れている加工方法です。

小型の精密機械に使用される歯車の加工によく利用されています。

また、切削やプレス加工とは違い、切り屑や端材が発生しないため材料ロスが少ないのが特徴です。

歯車の熱処理

歯車の成形ができると、歯車は熱処理をする場合がほとんどです。

歯車は柔らかすぎると摩耗が早くなってしまいますし、硬すぎると歯がかけやすくなってしまいます。

適切な熱処理を加えることによって、粘り強く強靭な歯車ができあがるのです。

 

熱処理には

 

  • 焼きならし
  • 焼きなまし
  • 焼入れ
  • 焼戻し

 

と、4つの工程に分けられます。

 

できあがった歯車は、そのままの状態では、圧延や加工硬化などで鋼の組織が不均一になっていますが、730℃以上にして、ゆっくりと炉の中で温度を下げることで、組織を均一にしてくれる作用があります。これが焼ならしです。

 

焼きなましは、焼ならしと同じく組織を均一にする効果と、材料をなんかさせる役割があります。鋼を730℃以上にして空冷することで、焼きなましの効果を得られます。

 

焼入れは、鋼を硬化させるのが目的です。

鋼を730℃以上にし、油や水に入れて急冷することによって歯車が硬くなり、摩耗につよくなります。

 

焼戻しは、焼入れで硬くなりすぎた歯車を、適度に粘り強くさせる熱処理です。

730℃以下で鋼を熱し、その後油や水で急冷することで、摩耗しにくく、かけにくい強靭な歯車ができあがるのです。

歯車の仕上げ

高精度が求められる歯車の場合、歯車の熱処理後に仕上げが施される場合があります。

歯車の仕上げには、現在では「歯車研削盤」が用いられることがほとんどです。

 

歯車研削盤では、砥石を用いて仕上げをしますが、その加工の仕組みは切削加工で紹介した「インボリュートフライス」と「ホブ」そっくりです。

 

※インボリュート型砥石画像

 

成形加工の場合、インボリュート曲線で成形された砥石を用いて、歯車の歯をひとつひとつ仕上げていきます。

 

※ウォーム型砥石画像

 

創成加工の場合は、ウォームギア型に成形された砥石を使って、砥石と歯車のどちらも同時に回転させて仕上げていきます。

 

生産性の観点から、後者の創成加工の仕上げ方が用いられる場合ほとんどです。

歯車の表面処理

仕上げられた歯車は、表面処理が施される場合があります。

表面処理を行う理由には

 

耐摩耗性アップ

防錆性アップ

耐食性アップ

 

など様々な理由があります。

焼入れの際に一緒に行われるものもあれば、あとから表面処理だけを行う場合もあり、様々です。

 

用途によって表面処理の方法は異なってきますが、代表的なものには

 

浸炭処理

窒化処理

四三酸化鉄皮膜処理(黒染め)

 

などがあげられます。

 

浸炭処理は、先程の熱処理をメタンガスやプロパンガスなどで行う処理です。

炭素を鋼に染み込ませるようなイメージで、高炭素状態になった表面の鋼は硬度が高くなります。

これにより、耐摩耗性が向上します。

 

窒化処理は、鋼の表面に窒素を浸透させる処理で、耐摩耗性や耐食性が増します。

環境への負荷が少ない処理なので、自動車部品等に幅広く用いられているのが特徴です。

 

四三酸化鉄皮膜処理は、黒染め処理とも呼ばれ、防錆性、美装性などの向上に用いられます。

皮膜が薄く、寸法変化が少ないため、精密機械の歯車に多用されているのが特徴です。

まとめ

歯車の加工方法は多岐に渡り、その使用用途や目的によって最適な加工方法が用いられます。

もし、歯車を見る機会があれば、これはどんな方法を使って作られたのか想像してみるのも面白いかもしれません。

歯車の基本の加工方法は、今回紹介した通りですが、他にも加工方法は存在しているので、さらに詳しく知りたい方は調べてみてください。

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