こんにちは、ドリル・エンドミルなど切削工具の再研磨をしているツールリメイクです。
ATCという言葉を聞いて、ATCがマシニングセンタの何を指しているのかはっきりとわかりますか?
「なんとなくわかるけど、はっきりとはわからない」
「ATCなんて言葉聞いたことがない!」
「何を指しているのかはわかるけど、ATCってなんの略?」
といった方に向けて、マシニングセンタのATCについて詳しく解説していきましょう。
ATCについて知らない方は必見です。
マシニングセンタのATC
マシニングセンタには必ずATCが備えつけられています。
ATCは「Automatic Tool Changer」の略語で、日本語で言うと「自動工具交換機」となります。
ATCは、マシニングセンタ最大の特徴とも言える機能で、加工のNCプログラムをあらかじめ設計しておくことで、加工の形状に合わせて工具交換を自動でしながら連続で加工してくれます。
ATCを備えたマシニングセンタでは、外形部を加工する際にはエンドミルを装着し、穴あけ加工のときにはドリルに工具を交換し、ドリルであけた穴にネジを切るためにタップに工具を交換するなんてこともできてしまうのです。
ATCとNCプログラムの存在によって、マシニングセンタではフライス盤とは異なり、オペレーターが付きっきりにならずに加工ができるようになりました。
このような背景から、自動車部品の加工、金型の加工など、幅広い分野でATCを備えたマシニングセンタは利用されています。
ATCの種類
マシニングセンタに備え付けられているATC機構には、
- タレット式
- マガジン式
といった2つの種類が存在します。
どちらも一長一短があるので、どちらが優れているかとは言えません。
それぞれの仕組みについての解説とそれぞれのメリット・デメリットについて解説していきましょう。
タレット式のメリット・デメリット
※タレット式ATCの画像
タレット式のATC機構は、主軸の上部に工具を差し込む部分が円を描くように据え付けられています。この工具を差し込む機構はツールポットと呼ばれます。
工具を交換する際は、このツールポットが回転して、現在取り付けられている工具を収納し、目的の工具を主軸の横に持ってきて工具を取り付けます。
タレット式のメリットは、工具交換のスピードが速いところです。
ツールポットから主軸へ直接工具を脱着できるためロスが少なく、最新の機種であれば1秒かからない程度の時間で工具を交換できてしまいます。
デメリットは、工具のサイズや工具の重量に制限がある点です。円周状に工具を配置する関係から工具が大きすぎると干渉してしまうなどのトラブルが発生する場合があるので注意しなければなりません。
また、円周状に配置しているので、収納できる工具の本数にも限界があります。
これらの特徴から、タレット式のATC機構を備えたマシニングセンタは、工具の交換頻度の高い加工をする際にとても有効です。加工の効率を高めたいという場合にはタレット式におATCを備えたものが最適でしょう。
また、スペースを取らないことが多いため、小さな部品を加工する小型のマシニングセンタによく備え付けられています。
マガジン式のメリット・デメリット
※マガジン式ATC画像
マガジン式のATC機構は、マシンガンの銃弾のように工具をセットしておくタイプを指します。
工具を収納しておく部分をツールマガジンと呼び、工具を交換する際にはツールマガジンに収納された工具が交換位置へと移動し、チェンジャーアームと呼ばれる機構を使って主軸と工具を入れ替えます。
マガジン式のメリットは、工具の収納本数が多い点にあります。
そのため、汎用的な工具を常に収納しておくことで、段取りにかかる時間を削減できるというメリットがあり、1台のマシニングセンタで様々な加工をする場合において役立ちます。
また、工具の収納スペースに余裕があるので、大きな工具の収納も問題なく行えるという点も大きなメリットです。
デメリットは、工具の交換に時間が掛かるという点です。マガジン式ではチェンジャーアームを使って工具を交換するため、工具の交換にはタレット式よりも時間が掛かってしまいます。
このような特徴から、マガジン式は多品種少量生産の場面で使われる場合がほとんどです。
大きな工具を収納しやすいことから、鉄や難削材などの重切削などにもよく用いられます。
まとめ
マシニングセンタにおいて、工具を自動で交換する機能をATC(Automatic Tool Changer)といいます。
ATCにはタレット式とマガジン式の2つがあり、加工の用途や規模によって使い分けるのがベストです。
タレット式は工具の交換回数が多い量産加工をする場合に生産効率を高めたい場合に適し、マガジン式は常に多数の工具を収納しておきたい場合に適しています。
工具交換の機構も見ていると楽しいので、興味のある方はYouTubeなどで動画を探して見てくださいね。
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