加工技術

作業の「無駄な時間」はどこ?見つけ方と短縮方法

皆さんこんにちは切削工具の再研磨・制作・レンタル、を行っているツールリメイクのミルです。

 

「もっと作業時間を縮めたい!」「生産性を上げたい!」と思ってもどこを縮めればいいのか分かりません!

 

機械が動いている時間の中には「価値を生んでいない無駄な時間」がたくさん隠れているんじゃ。時間の無駄を見つけるために、どこから改善すべきかを判断する簡単な考え方を「3つの場面」に分けてチェックするのがコツなんじゃ。

 

時間の無駄が発生する場面

 

【場面1】1個を作っている最中(秒の世界)

〜機械が実際に加工している最中のわずかな時間〜

  • 隠れているムダの例:
    • 空走り(エアカット): 刃物が材料に触れていないのに動いている時間
    • アプローチ・退避: 刃物が安全な位置から移動する無駄な遠回り
    • 工具交換(ATC): 刃物を付け替える動作の時間
  • ポイント: 1回あたりは「たった数秒」ですが、1日に何十個・何百個と作る場合は、掛け算で大きな時間になります。

【場面2】1個作り終わって次をセットする間(分の世界)

〜製品を1個作り終えてから、次の加工をスタートするまでの時間〜

  • 隠れているムダの例:
    • 材料の付け替え(着脱): 手際や治具(固定具)の扱いによるタイムロス
    • 寸法チェック(測定): 測定器を取りに行ったり、確認に時間がかかったりする時間
    • 清掃・バリ取り: 切りくず(粉じん)のエアブローや簡単な手作業
  • ポイント: 機械が完全にストップしている時間です。作業の順番を見直したり、加工中に準備を済ませたり(外段取り)することで短縮しやすいポイントです。

 

【場面3】1日全体の中(時間の世界)

 

〜朝から夕方までの1日(8時間など)全体で見たときの時間〜

  • 隠れているムダの例:
    • 段取り替え: 別の種類の製品を作るための準備・条件変更
    • 材料・指示書待ち: 次に作る材料や図面が届かず作業が止まる時間
    • チョコ停・中断: アラームによる一時停止や、朝の暖機運転(ウォーミングアップ)
  • ポイント: 「理論上作れるはずの数」と「実際に作れた数」の差の原因になる部分です。現場全体の配置や計画・手順を見直すことで大きな改善につながります。

 

時間の無駄のチェック方法

【場面1】1個を作っている最中(秒の世界)のチェック方法

〜機械のプログラムや動きを確かめる〜

NC装置のタイマー・稼働モニタを見る

  • 機械の画面で「実際に削っている時間(切削時間)」と「削っていない時間(空走り・自動工具交換など)」の内訳を確認します。

プログラムの動作(NCデータ)を画面上でシミュレーションする

  • 刃物が材料から大きく離れすぎていないか、無駄な遠回り(アプローチ・退避動作)がないかをチェックします。

 

 

【場面2】1個作り終わって次をセットする間(分の世界)のチェック方法

〜手作業と機械の停止状態を確かめる〜

  • スマホやカメラで「2〜3サイクル分」の作業動画を撮影する
    • 作業風景を撮影し、再生しながら手作業の内訳(材料のセット、測定、バリ取り、清掃、扉の開閉など)の時間を秒単位で書き出します。
    • 動画で見返すと、「測定器を取りに行く歩行」や「材料の向きを確かめる迷い」などの隠れたタイムロスが一目でわかります。

 

【場面3】1日全体の中(時間の世界)のチェック方法

〜1日(または1シフト)全体の引き算で確かめる〜

  • 「理論上の生産数」と「実際の生産数」を比べる(引き算チェック)
    • 1日の実稼働時間(例:8時間=480分)から、「1個の目標時間 × 実際に作れた個数」を引き算します。
    • 【計算例】

1個2分 × 実際に作れた180個 = 360分(実際に作っていた時間)

480分 − 360分 = 120分の差(消えた時間)

    • この差額(120分)の中に、段取り替え、材料待ち、朝の準備、ちょっとした停止(チョコ停)などが隠れていることが分かります。

 

 

【一番簡単なチェック手順】

 

 

ストップウォッチで「1個分」計る(場面1・2)

まずは身近なストップウォッチ(スマホのアプリでOK)を用意します。

  • 「機械が動いている時間(場面1)」
  • 「手で作業している時間(場面2)」

この2つを別々に計ってメモするだけです。

 

 

夕方に「引き算」をする(場面3)

1日の終わりに、電卓で以下の計算をします。

【消えた時間】 = 今日の勤務時間 −( 1個の加工時間 × 作れた個数 )

 

★ たったこれだけで分かること

  • 「手作業の時間」が長ければ  治具や道具の置き場所を見直す
  • 「消えた時間」が大きければ  材料待ちや準備の手順を見直す

 

改善方法

 

 

【場面1】1個を作っている最中(秒の世界)の改善方法

:プログラムと動作のムダを削る

 

  • 早送り速度と距離の最適化
    • 刃物が材料に接触する直前までのアプローチ移動や、加工後の退避移動の距離を必要最小限に縮める。
  • 空走り(エアカット)の削減
    • 削っていない部分を削るようなプログラムの動きを修正し、切削開始位置を最適化する。

 

  • 工具(ATC)交換の集約
    • 似た形状や工程を1本の工具でまとめて加工し、工具の持ち替え回数そのものを減らす。

 

【場面2】1個作り終わって次をセットする間(分の世界)の改善方法

:機械が止まっている手作業時間を削る

 

  • 外段取り化(加工中の事前準備)
    • 機械が削っている最中に、次にセットする材料や工具の準備やバリ取り、完成品の清掃などを済ませておく。

 

【場面3】1日全体の中(時間の世界)の改善方法

:現場全体の配置や計画のムダを削る

 

  • 段取り替えの手順標準化
    • 製品の切り替えに必要な工具・治具・図面・プログラムをあらかじめ一式揃えておき、機械を止める時間を短縮する。

 

  • 生産計画の工夫
    • 似た形状や同じ材料、同じ工具を使う製品をまとめて加工し、大掛かりな段取り替えの回数を減らす。

 

 

★ 改善を進めるときの鉄則

改善に着手するときは、「1回の短縮時間 × 1か月の回数」で掛け算をし、「1か月で一番多くの時間を生み出せる方法」から優先的に取り組むのが最も効果的です。

まずは、いつも作っている製品を1個選び、どの作業にどれくらい時間がかかっているのかを測ってみましょう。

小さなムダを一つずつ減らしていくことが、製造現場全体の生産性向上につながります。

 

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