こんにちは、ドリル・エンドミルなど切削工具の再研磨をしているツールリメイクです。
歯車というとどんなものを想像するでしょうか?
多くの人は「平歯車」を想像するはずです。
歯車の基本と言ってもいい、この「平歯車」について今回は詳しく紹介していきましょう。
平歯車とは?
最も原始的でシンプルな歯車が「平歯車」です。「スパーギア」と呼ばれることもあります。
平歯車は、歯車の歯筋が歯車の軸に対して平行かつ真っ直ぐなのが特徴で、大型の機械からおもちゃまで、幅広い分野で利用されています。
平歯車は、平歯車同士を組み合わせて回転運動を伝達するか、ラックを使って直線運動に変換する場合がほとんどです。
平歯車同士を組み合わせて使用する場合は、歯車の直径が大きな側を「大歯車」、直径の小さな側を「小歯車(ピニオン)」と呼びます。
平歯車は
- 生産性に優れる
- 軸受の構造が簡素で済む
といったメリットがあります。
平歯車は形状が単純なため、ホブ盤などを用いた製造で量産性に優れています。
また、平歯車は歯筋がまっすぐなため、軸方法に対しての荷重(スラスト荷重)がなく、シンプルな軸受のみで済むのも大きなメリットです。
その一方で、はすば歯車などに比べると、歯面の強度や駆動の滑らかさ、騒音に関しては劣ります。
しかし、その点を補うほどの使い勝手の良さとコストパフォーマンスがあることから、平歯車は幅広く利用されています。
平歯車とインボリュート曲線
平歯車の歯は、最適な形状をしているとなめらかに噛み合い、摩耗や騒音の少ない歯車になります。
現在利用されている平歯車の形状にはインボリュート曲線という曲線が用いられています。
平たく言うとインボリュート曲線とは、円柱に巻きつけたヒモをピンと張りながら解いていくときにヒモの先端部分がたどる曲線を指します。
歯車の基礎円に対して描かれたインボリュート曲線は、歯車が噛み合った際に常に1点だけが接するようになり、滑らかな回転を得られるのが特徴です。
インボリュート曲線が使われる以前はサイクロイド曲線が使用されていましたが、現在では時計などの精密機械以外ではサイクロイド曲線は使われていません。
平歯車のモジュールとピッチ
異なる直径の平歯車を組み合わせて使用する場合、平歯車のモジュールが一致していなければなりません。
モジュールとは、歯車のピッチ円を歯の数で割った値のことです。
このモジュールは、JIS規格で推奨されている値があります。
下記の表は「JIS B 1701-2:2017」から引用した表でモジュールの基準値を表しています。
I系列とII系列の2種類がありますが、I列系が最も汎用的なモジュールで、I系列で支障が出る場合はII系列のものを使用することが推奨されています。
表1−歯直角モジュールの標準値(1 mm以上の場合) 単位 mm
I系列 | II系列 |
1
1.25 1.5 2 2.5 3 4 5 6
8 10 12 16 20 25 32 40 50 |
1.125 1.375
1.75 2.25 2.75 3.5 4.5 5.5 6.5 a) 7 9 11 14 18 22 28 36 45 |
注a) できるだけ避けるのがよい。
表2−歯直角モジュールの標準値(1 mm未満の場合) 単位 mm
I系列 | II系列 |
0.1
0.2 0.3 0.4 0.5 0.6
0.8 |
0.15
0.25 0.35 0.45 0.55 0.65 0.7 0.75 0.9 |
まとめ
歯車の中でも最も基本になるのが今回紹介した平歯車です。
モジュールやインボリュート曲線の概念は他の歯車でもよく使われるのでよく覚えておくと役に立ちます。
平歯車の特徴をまとめると
- 生産性に優れる
- 軸受が簡素で済む
- 滑らかさははすば歯車などに劣る
- 平歯車同士はモジュールを合わせて使用する
といった点です。
平歯車は数ある歯車の中でも最も汎用的で使用頻度が高いです。
平歯車の特徴について理解しておくと他の歯車の概念も理解しやすくなるので、平歯車の概念はしっかりと理解してくださいね。
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