こんにちは、ドリル・エンドミルなど切削工具の再研磨をしているツールリメイクです。
ウォームギアという歯車を知っているでしょうか?
一般的なギアとは大きく形が違うギアですが、思ったよりも身近に利用されています。
今回は、ウォームギアの仕組みや特徴、実際の使用例などについて詳しく紹介していきましょう。
ウォームギアの仕組みと特徴
※ウォームギア画像
ウォームギアは
- ウォーム
- ウォームホイール
2つのパーツから構成される歯車です。
ウォームの方はねじのような形をしています。
ウォームホイールは、平歯車のような形をしていますが、歯の断面がウォームに食い込むようにRがついている点と、歯筋がウォームに合わせて螺旋状になっているのが特徴です。
ウォームとウォームホイールは、ねじれ方向をあわせる必要があり、なおかつモジュールも合わせなければならない点には注意しましょう。
ねじれ方向は、軸方向からみたときに歯筋が右肩上がりのものを右ねじれ、左肩上がりのものを左ねじれといいます。
右ねじれのウォームには右ねじれのウォームホイールをあわせるようにしなければなりません。
ウォームギアには
- 大減速比が得やすい
- 動力の方向を変えられる
- 摩擦熱や摩耗が発生しやすい
- セルフロック現象が起きる
といった性質があります。
ウォームギアは、ウォームが回転することによって、ウォームホイールがゆっくりと減速されて回転します。このときの減速比は非常に大きいのが特徴です。
ウォームギアは、ウォームギア・ウォームホイールの中心軸が、平行でなく、交わらないため「食い違い軸歯車」に含まれます。ウォームギアの交差角度は一般的には90°がほとんどです。
これらの特徴から、出力の方向を変えたい場合かつ、大きな減速比を得たい場合によく使用されます。
その一方で、ウォームギアは歯の接触面が大きいため、摩擦熱や摩耗が発生しやすいといデメリットがあります。そのため、高回転での使用はあまりおすすめできません。
潤滑剤も他の歯車に比べて大切で、ウォームギア専用の潤滑油が出ている程です。ウォームギアに注油する機会があれば、ウォームギアへの使用が可能な潤滑油かどうかチェックしておくといいでしょう。
また、ウォームギアには「セルフロック」という現象があります。
セルフロック現象とは、ウォームホイール側から回転させようとしたときに、摩擦の関係からウォームが動かなくなる現象のことです。
セルフロック現象を発生させるには、ウォームの溝の進み角を小さくする必要があります。
この性質を利用すれば、昇降装置などで出力側に負荷を掛けずに位置を保持できます。
ただし、ウォームギアの要素によってはセルフロックしないものもあるため、注意が必要です。確実に止めたい場合は、回り止めをあわせて設置する必要があります。
ウォームギアの利用例
ウォームギアが活用される場面では、主にセルフロック現象を用いる場合に使われます。
一般的によく使われるのが、
- 弦楽器の糸巻き(ペグ)
- エレベーターの巻き上げ装置
- 工作機械の割り出しテーブル
などです。
最も身近なのが、ギターやベースなどの弦楽器の弦を巻きつけるペグで、手でねじる部分がウォームと、弦を巻きつける部分がウォームホイールになっており、セルフロックをうまく利用しているのがわかります。
エレベーターの巻上装置では、エレベーターの自重でモーターが回らないための安全機構として利用されています。
工作機械の割り出しテーブルでも同様の使われ方をしますが、こちらは他のロック機構と合わせて利用される場合が多いようです。
まとめ
ウォームギアは
- ウォーム
- ウォームホイール
の2点で構成され
- 減速比が大きい
- 軸方向を変換できる
- 摩擦・摩耗が発生しやすい
- セルフロック現象が発生する
といった特徴があります。
なかでもセルフルロック現象はうまく使えば機構を簡素化できる可能性も出てくるので、頭の片隅に入れておくといいでしょう。
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