タップを使用する時には、どのようなメーカーのものを使用していますか?
昔から会社がこのメーカーを使っていたから、という理由で同じものをずっと使い続けている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、タップメーカーを選定する際の、メーカーごとの特徴や違いについてご紹介します。
タップは雌ねじを切るための工具
タップメーカーについて解説する前に、タップについて簡単に解説します。
タップは、雌ねじを切るための工具で、使用するねじのサイズに合わせた下穴に、タップを回転させながら挿入してねじ山の加工を行います。
タップの種類は様々あり、タップにはこんな種類があります。
ハンドタップ
手加工での加工に使用されるタップで切り子を抱え込みます。
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スパイラルタップ
機械加工で止まり穴の加工に使用されるタップ。切り子が上に出る。
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ポイントタップ
機械加工で貫通穴の加工に使用されるタップ。切り子が下に出る。
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転造タップ
切削ではなくモミだして加工するタップ。切り子は出ない。
タップ工具は用途に合わせて、使い分ける必要があります。
タップメーカーも様々な工夫を凝らしており、メーカーごとに得意な加工や材質があったりします。
国内の主要タップメーカーを紹介
それでは、国内の主要タップメーカーを4社ご紹介していきます。
各社手がけているタップも個性的なものもたくさんありますので、興味が湧いた方は、是非カタログをご覧になってみてください。
オーエスジー
オーエスジーは、日本を代表する切削工具メーカーです。
1938年に創業され、切削工具や測定工具など、様々な製品を手がけています。
オーエスジーが手がけるタップシリーズ「Aタップ」では、”抜群の切りくず排出性能”をうたっており、その切りくず排出性能の高さが伺えます。
特にスパイラルタップでは、不等リードを採用しており、安定した切りくず排出性を実現。
マシニングセンターでのタップ加工から、手動ボール盤でのタップ加工まで、幅広い機械での加工が可能です。
また、オーエスジーでは加工用のタップホルダーなども手がけており、タップのさらなる性能を引き出すこともできます。
総合的に工具を取り揃えているので、一通り工具を揃えられるというのも魅力です。
YAMAWA JAPAN (株式会社彌満和製作所)
株式会社彌満和製作所はYAMAWA JAPANの名でよく知られています。
1923年に創業され、ねじ切り工具や穴あけ工具の製造と販売を行う、ねじ切りと穴あけのスペシャリストです。
YAMAWA JAPANの手がける「Z-PROシリーズ」は、粉末ハイスと特殊コーティングでの耐久性向上と、水溶性の切削油での使用に特化しているのが魅力。
近年の切削油の水溶性化に、最適なタップのラインナップが充実しています。
また、超硬タップや特殊タップなども多くラインナップされているので、特殊な加工が必要になった場合はYAMAWA JAPANのカタログを調べてみるのがいいでしょう。
NACHI (株式会社不二越)
株式会社不二越はNACHIの名称で幅広く知られています。
1928年に創業され、切削工具やロボット事業、ベアリング事業など幅広く手がけています。
同社の「HyperZタップ」シリーズは、未コーティングにもかかわらず、他社のコーティング品と同レベルの切削条件での加工が可能です。
また、工具の寿命も高く、安定した加工が可能なので、「HyperZタップ」は工具の交換に時間を取られたくない方におすすめです。
「HyperZタップ」には、ステンレス専用のモデルもラインナップされているので、ステンレス用の高寿命タップを探されている方にもおすすめできます。
株式会社早坂精密工業
株式会社早坂精密工業は1937年に創業され、タップやダイス、面取りカッターなどを手がけています。
早坂精密工業の手がけるタップシリーズは、非常にコストパフォーマンスに優れており、町工場などのタッパー周りには、同社のタップが良く準備されています。
大量生産で生産効率を高めたりするよりも、少量多品種の品物にタップ加工を施すのに適しています。
もちろん、ポイントタップやスパイラルタップなどのラインナップも充実しているので、材質に合わせた工具の選定が可能です。
初めてタップ加工をしてみるという方は、同社のタップが入手しやすく、価格も手頃なのでおすすめできます。
どのメーカーのタップを使うべきか?
もちろん、違いはありますが上記のような国産メーカーはもちろんのこと、近年では韓国、中国、台湾製のタップも安価で十分な品質をもっています。
工具商社さんで取り扱いされているタップであれば基本的に安心して使用ができると思って頂いて大丈夫です。
一番大切なことはタップの種類やコーティングの選定
タップを選ぶ上で大切なことは2つあります。
タップの種類を正しく選ぶ
加工に適したタップの種類を使用することです。
タップの種類と用途については以下の記事で紹介しているので参考にしてください。
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正しい種類のコーティング
そして、もうひとつ大切なことが加工に合わせたコーティングを行うことです。
タップに限らず切削工具を使用する際はコーティングが重要であり、その種類もたくさんあります。
どんなワークにどんなコーティング適しているか以下の記事で確認してみましょう。
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タップの再研磨
切れが悪くなってきたタップは再研磨を行って下さい。
海外製の安価なタップは特に使い捨てされる傾向がありますが、使い捨てを繰り返していては地球環境にもエコでなく経済性も悪化します。
タップの再研磨専門加工業者であれば、様々な工具メーカーのタップを研磨しているので、その特性や最適な再研磨をすることができます。
タップの再研磨時期の見分け方
タップの再研磨が必要かどうかは、以下の点を基準にしてください。
①工具が損傷したとき
②加工後のねじの寸法精度が不合格になったとき
③加工後のねじの仕上面が悪くなったとき
④切削抵抗が大きくなったとき
⑤切削時のキシミ音が発生したとき
⑥切屑の形状が変化してきたとき