こんにちは、ドリル・エンドミルなど切削工具の再研磨をしているツールリメイクです。
エンドミルの刃の方向や、溝のねじれ方について詳しく知っていますか?
普段あまり意識しない、エンドミルの刃の方向や溝のねじれですが、刃やねじれの方向によって切削の特性などが変わってきます。
現在は右刃右ねじれのエンドミルが大半ですが、ねじれや刃の方向が変わってくると、どのように特性が変わってくるのかについて、詳しく解説していきます。
この記事を読めば、エンドミルの刃の方向やねじれの方向について理解できるだけでなく、バリの発生方向などについても理解することが可能です。
右刃と左刃
エンドミルには、右刃と左刃の2種類が存在しています。
これは、エンドミルだけでなくドリルでも同じことです。
一般的なエンドミルは、そのほとんどが右刃ですが左刃のものも存在しています。
【右刃右ねじれ・左刃左ねじれ写真】
右刃のエンドミルは機械の主軸を時計まわりで回転させたときに切削することができ、左刃のエンドミルは反時計回りで回転させたときに切削することが可能です。反対方向に回しても刃の向きが違うため切削はできません。
バリの発生方向が異なり、右刃のエンドミルは進行方向に対して右側に、左刃のエンドミルは進行方向に対して右側にバリが発生するという特性があります。
右刃と左刃では、切削の能力には差はありませんが、加工を行う機械の回転方向が時計回りのことが多く、エンドミルやドリルのほとんどが右刃の仕様となっています。
右刃と左刃は回転方向が異なるだけなので、性能や特性自体には違いはありません。
右ねじれと左ねじれ
エンドミルには右刃と左刃の2種類があるとお伝えしました。
ここからはねじれの方向について解説していきますが、右刃の場合を例に取って解説していきます。
右刃右ねじれ
もっともスタンダードな右刃右ねじれは、エンドミルを側面から見たときに、螺旋部分が右上がりになっています。
そのため、被削材の切削時にすくうような形で被削材を削ります。
右刃右ねじれのエンドミルは機械から抜けるような方向へと負荷がかかりなから切削していくことになります。
このことから、右刃右ねじれのエンドミルは加工中に抜け落ちてしまう可能性があり、エンドミルのシャンクをミーリングチャックでしっかりと固定しておかないと、加工中にエンドミルが抜けてしまうことになりかねません。
右刃右ねじれのエンドミルを使用するときは、ミーリングチャックの締め方に気をつけましょう。
右刃左ねじれ
右刃左ねじれの場合は、エンドミルを側面から見たときに螺旋部分が左上がりです。
そのため、被削材を押し付けるような形で被削材を削っていきます。
右刃右ねじれのエンドミルとは逆方向に力が発生するので、右刃左ねじれのエンドミルは、ミーリングチャックへと押し込む方向に力がかかります。
このことから、右刃左ねじれではエンドミルが抜け落ちる可能性はありません。
ねじれの方向による切り屑発生の違い
ねじれの方向が変わると大きく切削の特性が変わってきます。
こちらも右刃のエンドミルを例に取って見ていきましょう。
右刃右ねじれ
右刃右ねじれのエンドミルでは、底刃での切削時に、刃先が接触してから切り屑が徐々に発生し、すくい面にそってなめらかに切り屑が排出されていきます。
この特性から、底刃での切削を行う場合は切り屑が排出されやすく、良好な表面仕上げを得ることが可能です。
反面、エンドミルの側面を使って加工する場合は、切り屑を跳ね上げる形になるので、切削した面の上側にバリが発生しやすくなるというデメリットがあります。
右刃左ねじれ
右刃左ねじれの場合、底刃を使っての切削を行うと、押し付けながら強引に切削していくような形になります。
切り屑が発生すると同時にすくい面で切り屑を潰してしまい、発生した切り屑は潰れるかたちとなります。
切り屑は折り畳まれたような形状になってしまい、エンドミルの溝に詰まりやすいです。
そのため、切り屑の排出性がとても悪く、右刃左ねじれのエンドミルは底刃を使った加工には適しているとは言えません。
一方で、側面の外周刃を使った加工では、切り屑を下方向へと排出するため、切削面の上側にバリが発生しません。
右刃左ねじれのエンドミルは、側面加工で真価を発揮するといえます。
現在の主流は右刃右ねじれ
右刃、左刃、右ねじれ、左ねじれなどについて紹介してきましたが、現在の主流は右刃右ねじれです。
販売されている工具のほとんどが、右刃右ねじれでしょう。
これは、右刃右ねじれが最も万能に使用することができ、機械の回転方向にもマッチしているためです。
左刃や右刃左ねじれといったエンドミルは、探すことが難しいほどだと思いますが、機会があれば一度使ってみて、その切削特性の違いを比べてみてくださいね。
エンドミルの再研磨はツールリメイクにおまかせ
ツールリメイクでは、再研磨を専門にしており、お持ちの工具にピッタリの再研磨方法をご提案することが可能です。
ですので、エンドミルだけでなく様々な工具を再研磨可能ですので、刃物の切れ味で困っているのであれば、ぜひ一度ご相談くださいね。
ツールリメイクではスクエアエンドミルの再研磨はもちろんのこと、ドリルやエンドミルのレンタルサービスも行っております。
詳しくは、下記の「現場を変える、切削工具レンタルサービス。」をご覧ください。