こんにちは、ドリル・エンドミルなど切削工具の再研磨を行っているツールリメイクです。
タップ加工をしてみたけど、加工がうまくいかなくてお困りではないでしょうか?
タップ加工は、工具を回転させながら押し込むシンプルな加工ですが、その機構は他の工具に比べ複雑です。
今回は、タップがうまくいかない原因に対して症状別の対策を紹介したいと思います。
症状別タップの問題を解決
一言にタップのトラブルといっても、問題や原因は様々あります。
主な加工時の問題といえば下記のような問題点があるでしょう。
・加工しためねじが大きすぎる
・加工しためねじが小さすぎる
・加工中にタップが折れる
・加工しためねじが、むしれたりかすれたりする
・工具の寿命が短か過ぎる
これらの点について、ひとつひとつ解説していきます。
めねじが大きい場合の原因と対策
めねじが大きすぎる場合は様々な原因があります。
タップ工具の選定が間違っている
タップ工具の選定が間違っていると、加工がうまくいかない場合があります。
被削材がなにかをチェックして、現在使用しているタップ工具が適切なものかをチェックしてください。
また、タップの種類にはオーバータップというものが存在します。これは、あとでメッキ加工を施すことを考慮して、予め大きくタップ加工を施すものです。
オーバータップを間違って購入していないかもチェックしておきましょう。
これらを確認するには、メーカーのカタログをチェックするといいでしょう。
下穴が小さすぎる
下穴が小さすぎる場合は、タップ工具に負荷がかかり、タップのピッチ通りにうまくタップが入っていかないことがあります。
使用するタップに対して適切な下穴径をチェックし、下穴を適切な径で開け直すようにしてください。
下穴が芯ズレしている
下穴の位置がずれている場合も、タップのピッチ通りにうまくタップが入っていかなかったり、タップの中心がずれてしまうことがあります。
下穴加工とタップ加工の芯がずれないように調整してあげましょう。
切削速度が早すぎる
切削速度が早すぎる場合、しっかりと切削が行えず、むしれるような形になり、ねじ穴が大きくなってしまうことがあります。
切削速度をしっかり落として、加工するようにしてください。
メーカーカタログに記載の切削速度は、ベストな環境で導き出された切削速度なので、カタログ数値の6割程度を目安に切削速度を設定するといいでしょう。
切削油の供給が不十分
タップ加工には切削油の供給が不可欠です。
切削油が、タップと下穴にしっかりと供給されているか確認しましょう。
めねじが小さい場合の原因と対策
めねじが小さすぎるということは大きすぎる場合と比べて、原因は少ないです。
タップ工具の選定が間違っている
ねじ穴が小さい場合も、タップ工具の選定が間違っていないかチェックしましょう。
加工する被削材に対して適しているタップなのかをメーカーカタログでチェックしてください。
図面の公差と異なるタップを使用していないかも、チェックしておくべきです。
タップが折れる場合の原因と対策
タップが折れるということは、タップ工具への負荷が大きくなっているということです。
原因をひとつひとつ確認していきましょう。
タップの下穴が小さすぎる
タップの下穴が小さすぎる場合は、大きくタップ工具に負荷がかかります。
使用するタップに対して、適切な下穴が開いているかどうかを確認するようにしましょう。
下穴との位置がずれている
下穴とタップの位置がずれていると、タップ工具への負荷がかかります。
位置がずれていないかをチェックし、ずれているようであれば位置を調整しましょう。
切削トルクが大きすぎる
切削時の負荷が大きすぎる場合、タップの軸へ負荷がかかり、折れてしまうことがあります。
このような場合は、食い付き長さが長いタップを使用すると切削トルクを低く加工が可能です。
場合によってはハンドタップを使用し、1番タップから3番タップまでを順番に使用するといいでしょう。
下穴の底にタップが接触している
止まり穴の加工の場合、下穴の底にタップが接触している場合があります。
ドリルの深さが足りているのかをチェックし、干渉している可能性が無いか確認しましょう。
下穴の深さは、余裕をもって加工することをおすすめします。
めねじがむしれる・かすれる場合の原因と対策
めねじがかすれる場合も多くの問題があります。
ひとつひとつチェックしていきましょう。
切削速度が早すぎる
切削速度が早すぎると、むしれるような加工になってしまいます。
ですので、一度切削速度を落として加工してみるのがいいでしょう。
切削油の供給が不十分
切削油の供給が不十分な場合も、むしれやかすれが発生します。
ですので、切削油がしっかりとタップと下穴に供給されているかを確認しましょう。
切粉の排出が不十分
切粉の排出がうまくできていない場合も、むしれやかすれが発生します。
タップ工具が摩耗していたりすると、切粉の排出が悪くなる傾向にあるので、新品に交換したり、切粉の排出方法が異なるタップを試してみるのがいいでしょう。
工具の寿命が短い場合の原因と対策
工具の寿命が短い場合は、下記のような理由が考えられます。
下穴が加工硬化している
下穴を加工する際に、刃先の摩耗したドリルを使用していると下穴の壁面が加工硬化します。
加工硬化してしまうと、通常よりも材料が固くなってしまい、その分工具の摩耗が早くなってしまいます。
ですので、ドリル工具の選定が間違っていないかや、刃先の摩耗をチェックするようにしましょう。
切粉の排出が不十分
こちらの原因に関しては要因は様々ですが、
・切削油が供給されているか
・タップ工具の材質・コーティングが適切か
・タップ工具が摩耗していないか
などについてチェックするようにしましょう。
タップのコンディションをベストな状態に
ここまで、タップでのトラブルについて様々な原因と対策を紹介してきました。
タップ工具は、摩耗するとその力を最大限に発揮することはできません。
ですので、再研磨することで力を取り戻してくれます。
ツールリメイクではお使いの工具に対して、最適な再研磨の方法を提案することが可能です。
タップが摩耗した場合はお気軽にご相談を!
ツールリメイクではタップの再研磨はもちろんのこと、タップのレンタルサービスも行っております。
詳しくは、下記の「現場を変える、切削工具レンタルサービス。」をご覧ください。