こんにちは、ドリル・エンドミルなど切削工具の再研磨をしているツールリメイクです。
マシニングセンタのオペレーティングで最も重要といってもいいのが、刃物の加工条件です。
刃物の加工条件の正しい算出方法や安全な加工条件の煮詰め方を知っていなければ、一人前のマシニングオペレーターとは言えないでしょう。
「加工条件ってどうやって計算すればいいの?」
という方に向けて、今回は加工条件の計算式について詳しく解説していきましょう。
加工条件の計算式
まずは加工条件を求めるための公式について見ていきましょう。
※加工条件計算式画像(画像はイメージ)
上記の計算式に当てはまる数字を代入していけば、加工条件が計算できます。
それぞれの項目について順番に解説していきます。
計算はできるけど、それぞれの項目がどういう意味なのかイマイチわからないという方はこの機会にチェックしてみてください。
切削速度
切削速度は、刃物がワークを削り出す際の刃物が動く速度(Vc)のことです。
マシニングセンタでは、刃物が回転しているので、回転する刃物の最外周部の速度を指します。
この切削速度が早すぎると材料をうまく削れず、刃先に焼けが出てしまったり刃先が欠けてしまったりといった問題が発生します。反対に切削速度が遅い場合は、加工の効率が悪くなってしまって、加工時間が伸びてしまいます。
そのため、適した切削速度を導き出すことは生産性を重視する場合おいて必要不可欠です。
切削速度を導き出すのに重要なポイントは
- ワークの材質
- 刃物の材質(コーティング)
です。
これら2つの条件で切削速度は大きく変わり、刃物の材質が同じでもワークの材質が変われば条件は大きく異なります。これは被削材の材質の粘り気や硬さ、熱伝導率などが大きく異なるからです。
また、刃物も超硬合金とハイス鋼では大きく耐熱性や硬度が異なるため、切削速度の上限は全く異なったものとなります。切削速度は、ワークの材質や刃物の材質・コーティングで大きく異なるということを覚えておきましょう。
基本的に最適な切削速度は、刃物メーカーのカタログに記載されています。
回転数
回転数(S)は刃物の回転数を示しており、刃物の直径と切削速度に密接な関係を持っています。
同じ回転数であっても、直径1mmの刃物と直径10mmのエンドミルでは、直径10mmのエンドミルのほうが再外周部の切削速度は10倍速くなります。
刃物の直径で大きく回転数の設定が変わるため、使用する刃物に合わせて回転数は切削速度から導き出す必要があるのです。
直径の小さなエンドミルほど高速回転をする必要があり、直径の大きなエンドミルほど回転トルクが必要になってきます。使用する工具の直径でマシニングセンタの能力として求めらられるものが変わってくることを覚えておくといいでしょう。
テーブル送り
テーブル送り(vf)は刃物を材料に押し当てる際の速度を指します。テーブル送りは「送り」とも表示される場合があります。
テーブル送りは、早すぎると刃物が折れてしまったり、仕上げ面が荒くなってしまう場合があります。反対に、遅すぎると材料をうまく削り取れなかったり、加工に時間がかかってしまったりする場合があります。
テーブル送りを導き出すには、次に紹介する一刃送りをまず計算しなければいけません。
一刃送り
一刃送り(fz)は刃1枚当たりでどれだけ材料を削るかを指します。
刃1枚当たりの切削量になるので、同じ一刃送りであっても刃の枚数が多ければテーブル送りの量が大きくなるということがわかるでしょう。代表的な刃物であるエンドミルの場合、2枚刃、4枚刃など、刃の枚数が異なる物があります。刃の枚数で切削効率が変わることも覚えておきましょう。刃の枚数が多いほうが切削効率には優れますが、切り屑の排出は苦手としているので、シーンによって使い分けることが重要です。
刃物メーカーのカタログには、推奨の一刃送りが記載されている場合も多いので参考にしてみてください。
マシニングセンタの加工条件を決める際の注意点
マシニングセンタで加工条件を決めて、「さあ、いざ加工」と思って加工を始めると、加工条件が悪くて刃物を折ってしまったなんてことは珍しくありません。加工条件は、ワークの固定状態や機械の剛性で大きく変わるので、カタログの数値は参考程度にしておくことが重要です。
まずは算出した加工条件の5割程度に回転速度とテーブル送りを下げてから加工するのがおすすめです。回転速度とテーブル送りを同じ割合下げることで、切削負荷が少なくなって安定した状態で加工しやすくなります。
まずは、加工条件を下げた状態で加工してみて、問題がなければ徐々に加工条件を上げていきましょう。加工時の音を聞いて、異音が大きくなる前の状態に落ち着かせ様子を確認するのがベストです。
素早く加工条件を煮詰めるには?
素早く加工条件を煮詰めるには経験がとても重要になります。
はじめのうちは作業時間を短縮しようとして無理をしてしまい、刃物を折ってしまったり、ワークをダメにしてしまったりすることも珍しくありません。
面倒であっても毎回、加工条件を考え試行錯誤を繰り返すことが、素早く最適な加工条件を決めるのに必要となってきますので、少しづつ実践していきましょう。
切削工具の再研磨はツールリメイクにおまかせ
ツールリメイクでは、再研磨を専門にしており、お持ちの工具にピッタリの再研磨方法をご提案することが可能です。
ですので、エンドミルだけでなく様々な工具を再研磨可能ですので、刃物の切れ味で困っているのであれば、ぜひ一度ご相談くださいね。
ツールリメイクではスクエアエンドミルの再研磨はもちろんのこと、ドリルやエンドミルのレンタルサービスも行っております。
詳しくは、下記の「現場を変える、切削工具レンタルサービス。」をご覧ください。